物語って単純に楽しむこともできますが、様々な教訓を与えてくれたりしますよね。不朽の名作なんて呼ばれてる作品たちは特にそういった面が強い様に思えます。
今夜は不朽の名作として日本でも人気の高い『老人と海』について話してみようと思います。
読むと自然の厳しさを叩き込まれグッと疲れるという方もいますが、意外と内容は短いので興味を持ったら是非読んでみていただきたいです。
Contents
ヘミングウェイについて
アーネスト・ミラー・ヘミングウェイ(Ernest Miller Hemingway)はアメリカの作家で、1954年にノーベル文学賞を受賞したことで有名です。
同世代の小説家としては『グレート・ギャツビー』のスコット・フィッツジェラルドなどが挙げられます。彼らは”失われた世代“(ロストジェネレーション)と呼ばれています。彼らについてのお話は是非こちらをご覧ください。
ヘミングウェイはアメリカ人らしいライフスタイルで『パパ・ヘミングウェイ』の愛称で親しまれていました。
『老人と海』以外の代表作としては『日はまた昇る』『武器よさらば』『誰がために鐘は鳴る』などがあります。
22年間をキューバで過ごしたヘミングウェイはモヒートなどラムカクテルを愛したことでも有名で、彼の好んだスタイルのフローズン・ダイキリは『パパ・ダイキリ』と呼ばれ今でも楽しまれています。
彼の晩年は二度の航空機事故がきっかけで鬱病となり、ショットガンによる自殺でその生涯を閉じます。
老人と海について
『老人と海』(The Old Man and the Sea)は1952年に出版されたヘミングウェイの短編作品です。
老人と海を通し、自然界と闘う人間の姿を描いた作品と言われています。
貧しくても海を愛し海に生き、魚を尊敬し兄弟と謳う老人の人生と、厳しく残酷な自然界との対比が特徴的だと感じます。
あらすじ
※以下内容を含みます
主人公こと老人サンチャゴは、キューバで助手のマノーリンという少年と漁師として暮らしています。サンチャゴの不漁が続いたことにより、マノーリンは両親によって他の舟へ乗るように命令されてしまいます。
そんなある時、一人で漁に出たサンチャゴと約5.5mもある巨大カジキとの死闘が幕を開けます。サンチャゴは自前の腕で獲物の体力を奪いながら若かりし頃をふと思い出し、憂います。
3日間にもわたる激闘の末、サンチャゴは巨大カジキに敬意を抱きながらも遂に仕留めることに成功します。
サンチャゴは巨大カジキを舟で引きながら家路につきますが、仕留めた獲物から流れ出る血がサメの群れを引き寄せ、巨大なカジキをめぐる死闘が再び始まってしまいます。
次々と群れるサメの大群と闘いながら、サンチャゴは
「人間は殺されることはある。けれど、人間は負けるように造られてはいない」
と悟ります。
終わることのない死闘を繰り返しながらなんとか港に着いた頃にはカジキはすでに巨大な骸骨へと変貌していました。
港に着いたサンチャゴの舟と、巨大な残骸を見たマノーリンは何事かとサンチャゴを訪ねます。サンチャゴの負った傷を見て悲しむマノーリンに対して、サンチャゴは唯一の戦利品とも言えるカジキの嘴をプレゼントします。
その後サンチャゴは、粗末な小屋の新聞紙を敷いたベッドで眠り、若かりし頃見たライオンの夢を見ていました。
個人的見解
このあらすじを通して、ヘミングウェイは何を表現したかったのでしょうか。
かつては腕の良い漁師だったサンチャゴでさえも、年を重ねればスランプ(不漁)に陥ることもあります。そんな彼を他の漁師は馬鹿にしますが、若いマノーリンは尊敬してくれます。
死闘を終えたサンチャゴは結局何も手に入れることはできず、疲れ果てて眠りにつきました。そんなサンチャゴが見たのは彼の若かりし黄金時代かマノーリンを象徴しているかのような、ライオンの夢でした。
なんの収穫もないと思われたサンチャゴの死闘だったが、その背中は確かに少年に希望を与えたということでしょうか。
一文で表すと
一見抗うだけ無駄に思えるような老人による世界(自然界)への反抗が、
確かに若者へと勇気を与えたと。
関連作品
『老人と海』は1958年にジョン・スタージェス監督により映画化されています。
同じタイトルで沖縄の漁師を主人公とした邦画も制作されているので注意してください。
近頃はスマートフォンから地域の図書館に本やDVDを取り寄せることもできるようになっていますので、興味があれば是非この不朽の名作を一度ご覧ください。