こんばんは。
皆さまオペラ音楽を聴いたことがありますでしょうか?オペラといえばオペラ座の豪華絢爛なイメージやオペラグラスなど、貴族の楽しむ敷居の高い娯楽というイメージもあるでしょう。
そんなオペラを構成する重要な要素の一つはストーリーです。音楽の芸術性などは直接体験するのが一番ですので、ストーリーや概要などを話そうと思います。
現役最古のオペラ作品として親しまれているモンテヴェルディの『オルフェオ』をご存知でしょうか?
現役最古の作品であることや原典が有名なこともあり耳にすることも多いと思うので、今回はこの『オルフェオ』についてです。
モンテヴェルディについて
クラウディオ・モンテヴェルディ(Claudio Monteverdi)
ルネサンス時代とバロック時代を股にかけ活躍した音楽家です。
『オルフェオ』の他には『ウリッセの帰還』(Il ritorno d’Ulisse in patria)や『ポッペアの戴冠』(L’incoronazione di Poppea)も制作しています。
モンテヴェルディがマントヴァ(現:ロンバルディア州)で宮廷音楽家であった頃に、謝肉祭(カーニヴァル)のために制作したのが、この『オルフェオ』です。
謝肉祭(カーニヴァル)についてはこちらの話題もご一緒にどうぞ。
オルフェオについて
『オルフェオ』(L’Orfeo)
原典はギリシャ神話に登場する『オルフェウスの伝説』です。
『オルフェオ』はバロック時代(1607年)に初公演が行われ、現役最古のオペラ作品と言われています。
厳密に言うとこれより前の時代にもオペラが作られていた記録は残っているそうなのですが、演奏を再現するほどの情報は失われてしまったそうです。
バロック時代の芸術は2極の対比が特徴的で、このオルフェオは、地上と冥界とがバロック的対比表現であると言えるかもしれません。
あらすじ
※以下内容含みます。
-プロローグ-
ムーサ=ミューズ(音楽の女神)により物語が語り始められます。
-第1幕-
オルフェオとその恋人、エウリディーチェの結婚から物語は始まります。
ニンフ(ギリシャ神話に登場する妖精)達の祝福や、オルフェオの喜びに満ちた歌(Rosa del ciel)に対して、エウリディーチェも歌(Io non diró qual sia)で応えます。
-第2幕-
喜びも束の間。羊飼いと共に祝福をしているオルフェオの下にエウリディーチェの友人シルヴィオが訃報と共に訪れます。
エウリディーチェが毒蛇に噛まれて死んでしまったのです。
オルフェオは妻の死を悲しみ(Tu se’morta)、妻を取り戻しに黄泉の国へ向かうことを決意します。
-第3幕-
オルフェオは黄泉の国の三途の川で門番のカロンテと出会います。
オルフェオは事情を話しますが、カロンテは決して通してくれません。
どうしても通してもらえないため、オルフェオは歌を歌い続けることでカロンテを眠らせ、川を渡ることに成功します。
-第4幕-
黄泉の国の玉座に辿り着いたオルフェオは、黄泉の国の王妃プロセルピナの協力もあり、黄泉の国の王プルトーネ(冥王星の語源)の説得に成功します。
プルトーネはエウリディーチェをオルフェオに返しますが、現世に着くまでは決して彼女のことを振り返ってはならないと言います。(イザナギイザナミ伝説のようですね)
現世への帰り道、オルフェオはエウリディーチェの安否を確認するためつい振り返ってしまいます。
そのためエウリディーチェは黄泉の国へと戻され、二人は再び引き裂かれてしまいます。(Ahi, vista troppo dolce e troppo amara)
-第5幕-
オルフェオはエウリディーチェを取り戻せなかったことを嘆き悲しんでいます。(Questi i campi di Teacia)
木霊(こだま)が歌に応え(Questi i campi di Teacia)、オルフェオの父である太陽神アポロが天から降りてきます。
アポロはオルフェオを励まして、二人は天へと昇っていき物語は終結を迎えます。
関連作品
『オルフェオとエウリディーチェ』
タイトルからわかるように『オルフェオとエウリディーチェ』(Orfeo ed Euridice)も『オルフェオ』と同じく、『オルフェウス伝説』を原典とする作品ですが、エンディングの内容が少し変わります。
こちらのエンディングでは、オルフェオはアポロの代わりにエウリディーチェと再会することでハッピーエンドを迎えます。
制作者は同時期に活躍したクリストフ・ヴィリバルト・グルック(Chiristoph Willbald Gluck)です。
『地獄のオルフェ』
日本では運動会などでよく使われる『天国と地獄』は『地獄のオルフェ』(Orpheé aux Enfers)という『オルフェオ』のパロディ作品を編曲したものです。
『地獄のオルフェオ』(Orphée aux Enfers)はジャック・オッフェンバック(Jacques Offenbach)が制作した風刺の効いたオペレッタの一曲で、内容は離婚をしたい旦那が主人公の喜劇となっています。
オペレッタというのは歌のない台詞や皮肉の効いた風刺が特徴的な喜劇で、オペラにとてもよく似ています。
今晩はオルフェオについて軽くお話をさせて頂きました。
時にはクラシックな音楽をBGMにお酒を楽しむのも粋ですね。